月刊いぬごや新聞6月号

今月の言葉

辞書に載ってるからといって…「開いた口が塞がらない」

おーどりー――ハチさん、「開いた口が塞がらない」って、どういうときに使いますか?

ハチ――どういうときって…。あきれてものが言えないとき、に決まってる!

おーどりー――はい、決まってます!その通りですが、また地上波のテレビがやっちまいました。

ハチ――え、どういうこと?

おーどりー――うっとりしてる状態を表わす、みたいな? 口をポカーンと開けている人の映像とともに。

ハチ――テレビで?

おーどりー――そう、テレビで! でも調べてみると、江戸時代には「うっとりしている状態。我を忘れたさま」として使われているようで、用例を掲載している辞書もあるらしいのだけど…、それにしてもじゃない?

ハチ――なるほど、江戸時代に。でも現代ではこの用法はポピュラーじゃないよね。

おーどりー――だから3つの辞書を引いてみたけど、どの辞書も「うっとりしている状態。我を忘れたさま」の例を掲載していなかった。

ハチ――ずっと、「あきれてものが言えない」の意味で使ってきたから、辞書にあるからと言って今さら「うっとりしている」意味でなんか使えない。はっきり言って、気持ち悪い。

おーどりー――じゃあさ、素晴らしくて「お口、ぽっかーん」状態のときは何という表現が適切なんだろう?

ハチ――「言葉を失う」とか「唖然」とか「息をのむ」とか。自分ではあまり使わないけど「頭が真っ白になる」とかも。

おーどりー――似たようなことが、「頭を抱える」でもあって。ドジャースの大谷翔平が特大アーチを放ったときだったか、あまりにアッパレすぎて、ドジャーズベンチでは選手たちが「頭を抱える」ポーズをしていたわけ。で、日本の実況アナが、「チームメイトも頭を抱えています!!!」的なことを言ったのですよ。日本語の「頭を抱える」の意味は、デジタル大辞泉によると「心配な事や悩み事などがあって、思案に暮れる」こと。本来は苦慮する様子を表わす言葉なのに、実況アナはチームメイトのとったポーズっを言葉にしちゃった。

 間違っているわけじゃないけど、「むむむ?」感は否めなかったな。

ハチ――だけど…、私には今後同様の場面で「頭を抱える」が、驚きを表わす言葉としてどんどん使われるようになる未来が見える…。

開いた口が塞がらない

意味:あきれ返ってものが言えない

(大辞林第4版)