知ってほしいの、東京の農業 2
押上よしかつが「都産都消」にこだわるわけは?
墨田区鐘ヶ淵によしかつがオープンしたのは1994年10月。最初はごく普通のもんじゃ屋だった。
「いつかは自分で店をやってみたいと思っていたので、大学卒業後はスーパーに就職し、鮮魚を担当して魚も捌けるようになりました。26歳で独立したのですが、そのきっかけがツバサソースです。今はなくなってしまったんですが、これが美味しい。このソースを使って店をやりたいと思いました」
もんじゃ焼きありきではなく、ツバサソースありきだったのだ。とはいえ最初から東京産の食材を使っていたわけではない。当初は国産の食材を使うのも難しかったという。
2001年に現在の押上に移転。これを機に店のコンセプトを見直した。もんじゃだけでは使う食材が限られる。まずは酒ありきということで、居酒屋スタイルのもんじゃ屋に移行。それに合わせて食材の国産化を進めた。やがて東京産の食材やお酒にこだわった「都産都消」へと発展するのだが、それは自らの問いかけへの答えでもあったのだ。
「中学高校は鉄道研究会に所属して、日本中を旅しました。土地土地に食があり、その土地の風景がある。で、東京はどうなんだ? ツバサソースを使っているからといって、これが下町の味だと胸を張って言えるのか? 自分が思う下町の味とはなんだと考えた時、やっぱり東京産を目指すしかないと思ったんです」
その頃から都内各地の直売所が整備され始め、地場の野菜が買えるようになった。直売所を回っているうちに農家や酒屋ともつながった。江戸東京野菜も、その言葉が知られるようになる前から、積極的に取り入れてきた。
「肉や魚も含め東京産がほぼ揃うようになったのは、最初にスタートしてから15年、今の場所に移って十年近くかかりました」
しかし、コロナ禍を経て生産をやめる農家もある。生産者の立場になって考え、言い値で買ってきたというが、「やめる」の一言で終わり。どうしようもないこととは理解しているが、支えられなかったという虚しさが残るという。
「今回の米不足があって日本の農業の在り方が見直されるといいと思いますが、もう手遅れかもしれません。手遅れかもしれないけれど、今はここまで来たらあがいてやるかという心境です(笑)」
行ってきました!
おーどりーは、今年のHNK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」にぞっこんなのでございます♡ もう、ルンルン気分(ワクワク♪の意)で展覧会会場に向かいました。

東京国立博物館 平成館で開催されている特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」。「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」とも連携し、江戸の街の様相とともに、蔦重の出版活動をさまざまに紹介しています。蔦重が江戸時代後期の出版文化の一翼を担っていただけでなく、彼が創出した価値観や芸術性がいかなるものであったかが体感できるのでございます。
ドラマに登場した例の、吉原細見『籬の花』も展示されていましたが、思ったより小さくて、「よくこんな細かい文字読めるな、江戸時代の人!」と思いました。そのほか『一目千本』もありましたし、朋誠堂喜三二の『娼妃地理記』、源内先生の「エレキテル」も展示されています。『青楼美人合姿鏡』に瀬川花魁を発見したときは「瀬川だー!」と叫びそうになりました。すでに序盤だけで、興奮はマックス状態(やれやれ。。
また、この展覧会、蔦重好きだけでなく、浮世絵ファンにとってもたまらないと思います。蔦重がプロデュースした、喜多川歌麿や東洲斎写楽、栄松斎長喜といった絵師たちの作品も堪能できます。個人的には、写楽の作品がこんなに公開されている展覧会は初めてだったので、ここでも興奮が抑えきれませんでした。
さて、特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」。これだけでは終わりませんぜっ!なんと、蔦重が「耕書堂」を構えた天明・寛政期の江戸の街が、ドラマのセットで再現されているんですぅー(悶絶。。。

で、あの「耕書堂」の暖簾をくぐりました。あの源内先生が「書をもって世を耕す」と命名した「耕書堂」です(じぃ~ん…涙
とまあ、ドラマファンとしては興奮に次ぐ興奮で、若干疲れてしまったともいえるのですが、この展覧会は2度おいしい! 何と、この展覧会のチケットで、観覧当日に限り表慶館で開催中の「浮世絵現代」も観覧できるんです。さまざまなジャンルのアーティスト、デザイナー、クリエーターたちが絵師となり、アダチ版画研究所の彫師・摺師たちと協働して制作した「現代」の「浮世絵」が紹介されています。安野モヨコ、水木しげる、池田理代子など、漫画家さんの作品がおもしろかったです(マンガ好きなので)。
とにかく、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ファンなら行きましょう! 「これは、あの時のアレ!」などと、じっくり見ていると、きっと日が暮れてしまうことでしょう。
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」、「浮世絵現代」ともに6月15日(日)まで。
公式サイト:https://tsutaju2025.jp/
今月の言葉
情緒もへったくれもないけれど、もうこの言葉は万能だー「やばい」

おーどりー――おいしいものを食べて「やばい!」って言っているのを初めて聞いたとき、めちゃくちゃびっくりしたし違和感があった。
ハチ――わかる!「危ない」とか「危険がせまっている」みたいな意味でしか使ったことなかったからね。
おーどりー――今となっては、全然違和感はないけれど、おいしいときに「やばい」は使ったことはないかな?
ハチ――そうね。おいしいものを食べたときには「おいしい」と言いたいし、言われるんだったら「おいしかった」のほうが嬉しい。
おーどりー――「おいしい」だけじゃなく、結構いろんな場面で使われているから、「やばい」だけで感情表現できるみたいなことになってて、ますますボキャブラリーが貧弱になっていくね。ボキャ貧っていうらしい。
ハチ――これも略すんだ。。。
おーどりー――もはや「やばい」は、ほかの感動詞は要らない、ってくらいな存在になってる。楽しいときや嬉しいときに「やば~い!」、おいしいときに「やばい!」、感動したら「やばいっ!!!」、困ったときに「やっべ(やばい)」、苦しいときにも「やばい」、危機的状況でも「やばい」。
ハチ――肯定的なことから否定的なことまで、何でもかんでも「やばい」。そんな言葉になっちゃってるんだね。でもそれでいいのか?
おーどりー――テレビの街角のインタビューとかでも、JKは「やばい、やばい♪」とキャピキャピ嬉しそうにしてるイメージ。そしてときどき「やばくね?」
ハチ――何が「やばい」んだろね。「楽し~♪」とか「感動したー!」とか言ったらダサい認定でもされるんだろうか?
おーどりー――でもさ、でもさ、自分が危機的状況のとき。たとえば、絶対遅れちゃいけない会議とかに遅刻しそうになったとき、そのときの状況や気持ちを、普段何ということばで表してる?
ハチ――あ、「やばい」。かも。
おーどりー――そうなのよ。でも、それが本来の使い方だから。とはいえ、紳士淑女が使うことばではなかったよね、以前は。
ハチ――おいしいときには「おいしい」と言いたいけれど、ある意味、ことばは進化してると捉えましょう。
おーどりー――寛容、寛容っと。
やばい 意味:違法なことをするなどして、警察の手が及ぶ恐れのある状態だ。自分の身に好ましくない結果を招く様子だ。最近の若者の間では「こんなうまいものは初めて食った。やばいよね」などと、一種の感動詞のように使われる傾向がある(大辞林第4版)