月刊いぬごや新聞6月号

行ってきました!

五代浮世絵師展―歌麿 写楽 北斎 広重 国芳

HNK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の人気にあやかってか、日本中が浮世絵にわいています。尤も美術展の企画は数年前から企画しているはずですから、ここまで浮世絵がブームになるとは、主催者側も想像していなかったのではないでしょうか?

ざっと拾い出しただけでも、天王洲の寺田倉庫 G1ビルで開催された「動き出す浮世絵展」、先月おーどりーが紹介した東京国立博物館 平成館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」、すみだ北斎美術館でも蔦重にスポットを当てた「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」、太田記念美術館ではズバリ「江戸メシ」、ポーラ文化研究所 化粧文化ギャラリーのオープニング企画「『はじまりの美学』3期 初化粧」などなど。

 で、ハチが行ってきたのは、上野の森美術館で開かれている「五代浮世絵師展―歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」です。

言わずと知れた浮世絵五代スター! 一度はどこかで目にしたことがある(であろう)代表作を中心に、絵師ごとに作品が展示されているのですが、「浮世絵なんて似たようなもの」と思っていたことが大間違いであることがよ〜っくわかりました。章のタイトルと絵師を簡単に紹介しますと、

第一章 喜多川歌麿―物想う女性たち 蔦屋重三郎がプロデュース! 女性の理想像を追求し色香を見事に表現した美人画の第一人者

第二章 東洲斎写楽―役者絵の衝撃 インパクト大の役者大首絵で鮮烈なデビューを飾り、あっという間に姿を消したミステリー絵師

第三章 葛飾北斎―怒涛のブルー 世界で最も知られた日本人アーティスト! 90年の生涯で風景・花鳥・人物と森羅万象を独自に表現

第四章 歌川広重―雨・月・雪の江戸 江戸市中をはじめ、各地の名所を描いた‟名所絵”で浮世絵に新風を吹き込んだ、旅好きのセンセイ

第五章 歌川国芳―ヒーローとスペクタクル 奇想天外な発想、笑いとユーモアが漂う、ドラマチックな武者絵で、世界的に人気沸騰中

ね、絵が浮かんでくるでしょう。今後は、他の浮世絵の展覧会に行っても、この5人の浮世絵はきっと見分けられるのではないかと思います。

 ちなみに、音声ガイド・ナビゲーターは歌舞伎俳優の尾上松也さん。浮世絵は江戸時代の歌舞伎ともとても縁が深いので適任ですね。で、見つけちゃいました、浮世絵になった松也さん。2009年から「挑む」と題して行っていた自主公演に際して描かれた作品で、作者の石川真澄によれば「現代の役者絵として尾上松也氏を描きたかったに尽きる。松也氏の眼差しに『挑む』心意気を込め描いた」とのこと。

石川真澄 「挑む」(尾上松也「挑む 第八回 外伝」より) ©UKIYO-E PROJECT / KONJAKU Labo.

「五代浮世絵師展―歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」は7月6日(日)まで。

展覧会公式サイト https://www.5ukiyoeshi.jp/index.html

今月の言葉

最近はサッカー以外でも耳にするようになってきた「勝ちきる」とか「決めきる」とか

おーどりー――最近ではあまり「え!ん?」と思わなくなったんだけど、初めて聞いたとき、モヤモヤしすぎた言葉に「勝ちきる」があるのよね。

ハチ――ああ、サッカーの試合後のインタビューで、監督や選手がよく言ってるやつ!

最近はサッカー以外でも耳にするようになってきた「勝ちきる」とか「決めきる」とか

おーどりー――今はほかのスポーツでも言うのかな?「勝ちきる」を使うのは、サッカーというイメージだけど。「勝ちきれて、よかったっす!!」みたいな。

ハチ――そういえばサッカー以外では聞いた記憶がないけど、ほかのスポーツでも言いそうだね。

おーどりー――初めて聞いたときは心底「なんじゃこりゃ?」って思ったね。まあ、最近は慣れたけど、意味は感覚的にわかるって感じよね。言い換えるとしたら…?

ハチ――何だろう…、打ち負かす?

おーどりー――ねー、「打ち負かす」はちょっと違うよね。もはや「勝ちきる」は、「勝ちきる」でしか言い表せないと思う。

ハチ――辞書には、「はっきりけじめをつける」「終える」「果たす」「尽くす」の意を表すとあるね。

おーどりー――2語以上の複合によってできた動詞で、複合動詞というらしいですね。「疲れ果てる」とか、「笑い出す」とか、「走りきる」とかね。「走りきる」が出てきたけど、切る(きる)には切断(断ち切るなど)、終結(思いきるなど)、完遂(やりきるなど)、極限(疲れきるなど)、自信満々(言いきるなど)の意味があるらしいのよ。とすると、勝ちきるは…。

ハチ――完遂?かな。

おーどりー――たぶんね、それが意味としては一番しっくりくるよね。ある論文には「行為の単なる終了を表わすのではなく、行為者の予定通りに(質・量ともに)完全に行われることを意味している」とあるから、完遂(完了)の意味だね。

ハチ――ああ、でも、意味は理解できても、ほかのことばに言いかえるのは難しい。

おーどりー――そうなのよ。そしてこの前同じくサッカーの試合の後で選手が言ってた「(ゴールを)決めきる」って。決めきる、か~。またまた、新しい言い回しが出てまいりましたって感じ(笑)。

ハチ――スポーツ界においては、これからどんどん「~きる」が出てくるかもね。

おーどりー――まさか、「負けきる」はないよね(笑)。

~切る:最後まで完全にその行為をする。~し終える。完全にその状態になる。すっかり~する。(大辞林第4版)