月刊いぬごや新聞 4月号

知ってほしいの、東京の農業 1

肉、野菜、魚、酒、調味料…、何から何まで東京産!

 東京の農業を応援し続けてはや20年。東京の農業に目を向けるきっかけは、世田谷の(割と高級な)住宅地の中にキャベツ畑を発見したことだ。

「こんなところに畑がっ!」

 地方出身のハチは、家の畑で採れた野菜を食べて育った。採れたての野菜のうまさは知っている。

「東京の野菜を食べようではないか!」

 というわけで、東京産を食べるならココ、東京スカイツリーのお膝元、墨田区業平にある「押上よしかつ」だ。野菜はもちろん、豚肉も牛肉も、卵も牛乳も東京産、魚だって当然、江戸前&島ものだし、日本酒、焼酎、ワイン、調味料……、ついには東京で作られた器を使って東京の食材を食すコースまで作ってしまった。

 さて、そんなよしかつに4月某日、オードリーと足を運んだ。いただいたのは、よしかつ店長おまかせ“肴”プレート1000円、手作り東京豆富サラダ、東京豚の島たれ焼き、キッコーゴ醤油焼きうどん、日本酒のみくらべ、東京都産狭山茶ハイ。食レポをするなら、「素材がそのものが全てうまいっ!」に尽きる。

 客は私たちの他に、おばさま3人組とおじさま4人組。約10年ぶりに店長の佐藤勝彦さんと話がしたかったのだが、奥様と二人だけで切り盛りしているので、忙しそうだ。ようやく話ができたのは、帰る間際。「実は10年前、『るるぶ東京の農林水産業』でお世話になりました」と言うと、一気に時間は巻き戻り、東京の農業の話に。コロナ禍により農家も打撃を受け、食材によっては生産をやめてしまうものもあるそうで、そんな農家を応援すべく、定休日には産地に足を運んで、農作業を手伝っているのだとか。

 改めて東京の農業について語りたいと思いつつ店を後にした。来る時はまったく気づかなかった東京スカイツリーが、目の前にどーんと聳えていた。そうだ、なんで東京産にこだわるようになったのかも聞かなきゃ。(つづく)

よしかつ店長おまかせ“肴”プレート1000円
右から葛飾区産のフルーツトマト、キハダマグロ(これは東京産ではない)、檜原村のこんにゃく芋を使った糸こんにゃく、江戸前の太刀魚
東京豚の島たれ焼き760円(小)
東京の豚肉、練馬区産ののらぼう菜、島唐辛子の入った醤油ベースの島タレ
日本酒のみくらべ1100円(30㎖×4)
田村酒造場(福生市)の「田むら 純米大吟醸 山田錦」、中村酒造(あきる野市)の「千代鶴 特別純米 奥多摩」、
小澤酒造(青梅市)の澤乃井 純米吟醸 東京蔵人」、豊島屋本店(千代田区)の「純米無濾過原酒 十右衛門」。酒によって形の違うクラスで飲む

行ってきました!

ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ

2022年4月に世田谷文学館で開幕し、日本全国で70万人以上を動員してきた「ヨシタケシンスケ展かもしれない」が、新規の大型体験展示や展覧会オリジナルグッズなどを「たっぷり増量」して東京に帰ってきました。

 その名も「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」。昨年11月、アーティゾン美術館に隣接するTODA BUILDING6階にオープンした「CREATIVE MUSEUM TOKYO」が会場です。いちばん近い駅は、東京メトロ「京橋駅」です。

 初めて行くミュージアム。ワクワクしながら会場に足を踏み入れると、そこには大人も楽しめるヨシタケワールドが広がっていました。

  一番驚いたのはヨシタケさんが身の回りのできごとを観察し、小さな手帳に長年にわたって描き続けた膨大な枚数のスケッチ!壁一面を覆いつくすスケッチは圧巻のひと言。7500枚以上あるんだとか。そして、ヨシタケさんの描く絵って、すっごい小さかったー。

 従来の人気体験展示「てんごくのふかふかみち」や、「じごくのトゲトゲイス」のほか、東京会場だけで楽しめるのが、「つり輪の森」。その森の中では、つり輪につかまり足をぶらぶらさせて、「おとなでいるのにつかれたら あしのうらをじめんからはなせばいい」(『あつかったら ぬげばいい』(白泉社))という一節を体験できます。ちなみに、その日のおーどりーは肩の調子が悪く(つまり痛かった)、大事をとってつり輪にはつかまりませんでした。

 森には、誰にも見せない絵や言葉を描いて、自分だけの秘密にしたまま、シュレッダーに投入して粉々にする「あなただけのヒミツをつくろう!」もあり、実際にやってみると、粉々になった紙を見ながら一瞬「あ。」と思ったけど、なんだか秘密って楽しいという気分になったのでした。

 

 そのほか、「うるさいおとなをりんごでだまらせよう!」や「つまんないかおでしゃしんをとろう!」、「あなただけのおまじないづくりコンピューター」など、大人もついつい本気で頑張りたくなる体験展示が目白押し!

 会場を出るときに、将来を占うおみくじみ(カード)が引けるのですが、おーどりーの未来は「ちょうのうりょくしゃ(超能力者)」でした。ちなみにハチは「はれおんな(晴れ女)かはれおとこ(晴れ男)」だったそう。

  オリジナルグッズもかわいいし、併設のテーマカフェ「よしたけ飲食店かもしれない」に立ち寄るのもおすすめです。「いつか明太子クリームパスタになりたいパスタ」「おとなもこどももみなさまランチ」とか、メニュー名はふざけてますが、味はめっちゃ大真面目。全然ふざけていません!美味しかったです。

展覧会は6月3日(火曜)まで。

公式サイト:https://yoshitake-ten.exhibit.jp/tokyo/

はぁ~~~、すごい数!これ全部ヨシタケさんが長年描きためたスケッチ
会場内に出現した「つり輪の森」。おとなももちろんぶら下がってOK。ただし後でどこかが痛くなるかもしれない
ちいさな願いごと専門の「ちいさな神さま」

今月の言葉

どうしてそんな誤用が広まったのか?「琴線に触れる」

おーどりー――結構ネットでも騒がれてたから知っていると思うけど、「琴線に触れる」の意味を「怒りを買ってしまうこと」ととらえている人が多いんだって。

ハチ――えーーーーー!なんでーーーーー??

おーどりー――「逆鱗に触れる」と混同しているのでは?という説が有力ですね。

ハチ――「触れる」しか合ってないけど。。。

おーどりー――文化庁が過去に行った国語に関する世論調査では、「琴線に触れる」の意味について「感動や共鳴を与えること」とした人が約38%、「怒りを買ってしまうこと」とした人が約36%とほぼ同じだったそうなのよ。

ハチ――ん~~、けっこう由々しき問題なんじゃないでしょうか。

おーどりー――本当に!

ハチ――琴線とは琴の糸のことでしょう? 「物事に感動する心情」を琴の糸として比喩的に用いているのですよね。

おーどりー――つまり、エモいってことじゃないですか、これ!

ハチ――ああ、そうね。エモいだ。ちなみに逆鱗は「げきりん」。ぎゃくりん、じゃないですぅ。竜のあごの下にある逆さに生えた鱗(うろこ)のことだとか。「逆鱗に触れる」は、その鱗に触れると竜が怒ってその人を殺してしまうという中国の故事成語からきています。

おーどりー――故事成語っ!! 矛盾、杞憂、呉越同舟、四面楚歌、朝三暮四、温故知新、李下に冠を正さず。しっかし、漢文の時間、眠かったよね。

ハチ――寝てた。。

おーどりー――ところで最近、心の琴線に触れたことはありましたか?

ハチ――ないね。逆鱗に触れたことはあったけど。

琴線に触れる 意味:琴線は琴やバイオリンなどの絃。(心の)琴線に触れる→読み手や聞き手に大きな感動や共感を与える(新明解国語辞典第7版)