月刊いぬごや新聞10月号

行ってきました!

正倉院 THE SHOW-感じる。いま、ここにある奇跡-

正倉院展。一度は行ってみたいと思っている。奈良国立博物館で年に1度、17日間だけ開催される特別な展覧会だ。なぜ、そうなのかというと、出陳されるのは、1300年もの間大切に保管されてきた宝物ばかりだからだ。今年ももうすぐ、第77回目の正倉院展が開催される。ああ、行ってみたい~。

 と、おーどりーと同じような気持ちでいる人におすすめしたいのが、11月9日まで東京の上野の森美術館で開催されている「正倉院 THE SHOW-感じる。いま、ここにある奇跡-」だ。もちろん、本物の宝物はありませんが、宮内庁正倉院事務所の本気度をヒシヒシと感じる展覧会なのだ。展示されているのは、再現模造やレプリカなど。再現模造とは、本物の宝物と同じ材料・技法を用いて再現したもので、本物に限りなく近いというか、もう一つの本物! 1000年以上も昔に、こんな素晴らしいものを造る技術があったのかと思うと、じぃ~んとしてしまいました。

螺鈿箱の再現模造。宝物「紺玉帯(ラピスラズリで飾った帯)」をおさめる箱。難しいことはよくわからないが、黒漆塗の地に施された螺鈿細工がキレイ

 それから、最近流行の没入型の展示。この会場でもそれが体験できるのですが、今までのものとはちょっと違うぞ、という感じです。宝物を360 度からスキャンして得られた高精細な3D デジタルデータを巨大スクリーンで投影しているので、肉眼では捉えにくい宝物の細部や質感までが、くっきり・はっきり!!! 没入というより、宝物の美しさが迫ってくる感じでした。イマーシブがちょっと苦手なおーどりーですが、すごく堪能できました。

テンション上がる美のアベニュー。この先には、現代アーティストとのコラボレーション作品が並ぶコーナーがある

 個人的に一番楽しみにしていたのは、蘭奢待!!!!! これは、NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』で、染谷将太演じる織田信長が蘭奢待の香りを嗅ぎながら、ラリっていたのを目にした時からすごく興味があった。染谷信長は涙目だったもん。今回は、その蘭奢待のレプリカが展示されていて、香りも再現されているのですよ~。早く、早く、あたしに蘭奢待を~!!という気持ちで展示室に進むと、レプリカは、何と『麒麟がくる』で小道具として使われていたものだったそうで、そこでまたテンションが上がったのでした。ドキドキワクワクで香りを嗅いでみると、想像以上に上品な香りだった。もっと、ガツンとくる系を想像していたんだけど、天下第一の名香と言われる香木の香りだもんね。ガツンとはこないか…。なんか、おーどりーは、お下品にクンカクンカしてしまいました。

蘭奢待の香りが再現されたコーナーでは、香り体験ができる。調香師ってすげぇな

 それから、勅封の扉が再現されているのも面白かった。勅封とは、天皇の命令によって封印すること。正倉院の扉は、勅封で厳重に管理されていて、年に2カ月だけ開かれる。正倉院の宝物は、まさにこの勅封ゆえに1300年もの間守られてきたと言える。天皇の勅使が臨席して行われる10月の「開封の儀」と12月の「閉封の儀」の動画も流れていて、思わず見入ってしまった。さすがは日本人だ、と思ったらなんか泣けてきた。

 ちなみに、ミュージアムショップで「蘭奢待香りカード」が販売されているのだが、大人気らしく、当初はひとり5枚買えたのだが、現在はひとり1枚に変更され、場合によっては店頭にないこともあるらしい。香りは2カ月ほど持続するとか。あと、螺鈿箱を模したラウンドトートバッグがかわいかったな。

 いろいろ、心残りがあるのでもう1回行ってみようと思う。

公式サイト:https://shosoin-the-show.jp/tokyo/

今月の言葉

これだけで会話が成立していた!?「まじっすか?」

おーどりー――なにげなく、本当に何気なく「まじ?」とか使っちゃってますが、うちらの年代だといつ頃から何の抵抗なく使い始めたんだろう?

ハチ――いや~、もう記憶にありません(笑)。

おーどりー――まあ、でもこれ、かなりカジュアルなスラングだから、目上の人に使うのはどうなんだろう? 

ハチ――「まじっすか?」という言い方もあるし…。これ、一応「まじ」に「ですか」をつけた丁寧語風の口語だよね? 

おーどりー――丁寧語といえば丁寧語だ。「〇〇っすか?」とか「〇〇っす!」とかよく言ってるよね。そういえば、「まじっすか?」で思い出したことがある。

ハチ――え、なになに?

おーどりー――とあるご飯屋さんで食事していたとき、ふすま一枚隔てた隣の部屋から、サラリーマンと会社の先輩らしき二人組の会話が聞こえてきたんだけど。受け答えがすべて「まじっすか?」だったんだよね。まあ、カジュアルな関係なんだろうけど。

ハチ――そのサラリーマンが先輩に対し、すべて「まじっすか?」で答えてたと。

おーどりー――そうなの! もうマジっすかの活用のみ。単なる相槌の「まじっすか」、驚きの「まぁじぃ、っすかぁ!!」、同意の「マジっすか~」、怒りの「っまじ、っすか!」、みたいな。彼の語彙とは…

ハチ――いや、さすがに、コレは…(苦笑)。で、先輩はなんて言ってたの?

おーどりー――ん?別に。それで二人の会話が成立してたから、さらに驚いた。

ハチ――すべての若者がそうだとは思わないけれど…。そんなんじゃ取引先の人との商談の場合とか困らない?それほど親しくない相手や目上の人には使わないほうがいいよね。

おーどりー――でね、辞書で調べていたら、例文に「俺、学校をやめようとまじで思っているんだ/それ、まじ(=ほんとうか)」ってあって、なんか笑ってしまった。あと、「本気・真剣」とも書く(表記)、とあった(笑)。昭和のヤンキーかっ!

ハチ――とにかく、適切なワード選びは大切ってことで。

おーどりー――それに尽きますね。まじで!! ちなみに、「まじ」=「本当」だからといって、必ずしも「まじっすか?」=「本当ですか?」ではないのである。なかなか、深いのである。

まじ:まじめなさま。(主に若者言葉で)本当であるさま。本気であるさま

(大辞林第4版)