知ってほしいの、東京の農業 3
父親の死を機に、専業主婦から農家になった菊美さん その1
東京の農業に興味を持ったのは、世田谷の高級住宅地にキャベツ畑を発見したのがきっかけだと最初に書いた。そんな世田谷の、戸建てや大型マンションが立ち並ぶ、まさに住宅街に、野島菊美さんの畑はある。農地の広さはおよそ1800㎡。イチゴのハウスが2棟にブルーベリー畑と切り花用の花畑、その他敷地内には柿や栗、夏みかん、レモン、黄金柑といった果樹が植わり、なんと竹やぶまである。

「電線が1本もないんですよ。空が広くて、気持ちいいでしょう」
ホントだ! バス通りからほんの数十m入っただけなのに、空気も違えば、見上げる空も違う。そこだけフィトンチッドのバリアで包まれているようだ。
菊美さんが農業を始めたのは20年ほど前のことだ。父親の具合が悪くなり、手伝うというより様子を見る感じで農作業に関わるようになった。
「農業をやるなら花が作りたいと思っていて、世田谷区のボランティア制度を使って農家さんにボランティアに行ったりしてたんです。ところが、思いの外早く父が亡くなってしまって……」
「農業を継ぐつもりはなかった」が、いざ父親が亡くなってみると、気持ちがざわついた。この地で生まれ育ち、結婚してからも実家の2軒隣で暮らしてきた。愛着がなかろうはずがない。
「父が最後に植え付けたキャベツが、どんどん育っていくんですね。それを見ていたら、“私がやる!”という気持ちになりました」
相続の関係もあり、夫婦揃って菊美さんの実家の養子に入り、旧姓の野島姓になって農業を継ぐことにした。会社員の夫はそのまま仕事を続け、農業は基本的に菊美さんが一人で担うことに。母親や親戚からは反対されたが、その気持ちが揺らぐことはなかったという。
「今思うと、後を継ぐのはあのタイミングだったのかな。年を取ったら体力も気力もなくなって、できなかったと思う。早く亡くなったのは残念だけど、まだ父のことを知っている人たちがたくさんいて、皆さんにとても良くしてもらったのでとても助かりましたし……。まさに親の七光ですね」
父親は主にキャベツとブロッコリーを栽培していた。が、これを女性一人で続けるのは体力的に厳しい。これから年をとっていくことを考えると、これまでとは違う農業をやらないと……。世田谷区とJA東京中央が後継者の育成のために実施している「農業塾」に入塾することにした。そこで、区内でイチゴを栽培している農家がいることを知った。
「見学に行くと、イチゴの花や実がそれはそれはきれいで可愛くて、胸がときめいたんです。ハウスを作らなければならないので、それなりの設備投資が必要になるのですが、まずはハウス一棟から始めてみようと意を結しました!」

「こんなこと今までなかったのに……農業は思いも寄らないことがいろいろあります」
こうして、菊美さんのイチゴ農家としての第一歩がスタートした。
(つづく)
行ってきました!
「レオ・レオーニの絵本づくり展」
渋谷ヒカリエ9階にあるヒカリエホールで8月27日まで開催されている「レオ・レオーニの絵本づくり展」。
レオ・レオーニって誰? と思う人がいるかもしれませんが、絵本『スイミー』の作者と言えばわかる人も多いのではないでしょうか? そうです、あのレオーニさんの展覧会です。で、この展覧会は板橋区立美術館を皮切りに、各地を巡回する「レオ・レオーニと仲間たち」展の絵本セクションにフォーカスしたもの。レオーニさんならではのさまざまなテクニック(技法)が紹介されていて、ファンはもちろん、絵本好きにもたまらない展覧会なんです。

展覧会は3章で構成されていて、第1章がテクニック(技法)の紹介です。レオーニさんの作品に多く見られるコラージュをはじめ、でこぼこしたものの上に紙を置いて鉛筆やクレヨンなどでこすって模様を写し取るフロッタージュ、版画技法の一種のモノタイプ、スタンピングなどなど。多彩な技法に感心してしまいますが、個人的にはやはりコラージュが楽しい。レオーニさんの作品によく登場するねずみは、身体の部分は手でちぎった紙が使われています。なぜなら毛のモフモフ感を出すため。耳やしっぽなどはハサミで切って、身体のモフモフ感を際立たせています。それにしても、シンプルなパーツの組合せなのに、レオーニさんのねずみたちは、なんでこんなに可愛いのだろう? なんでこんなに生き生きとしているんだろう?
第2章では、『6わのからす』の原画がズラ~リ! 原画とともにそのストーリーをたどります。
そして第3章がこの会場限定のインタラクティブコンテンツ。これ楽しいです! まるで絵本の中に入り込んだような空間で大人でもワクワクします。会場の中央の円形のスクリーンの中には、レオーニさんのアトリエのあるイタリア・ポルチニアーノの風景をベースにしたジオラマがあったり、『スイミー』の世界を表現した「スイミー・スクロール!」があったり、絵本『シオドアとものいうきのこ』の1ページを思わせる空間があったりと、子どもなら走り回って喜びそう。フロッタージュの技法が体験できるコーナーがあったので、年甲斐もなくノリノリでやってみました(楽しかったです、はい)。
特設ショップもかわいいものだらけで、財布のひもが緩むこと必至。かわいいは正義だと改めて実感しました。『シオドアとものいうきのこ』のシオドアが冠を被った「シオドアぬいぐるみボールチェーン」は、開幕早々売り切れてしまったそう。むむっ!と思って、メルカリを見てみたら、3倍近い値段で転売されていました(バカヤロー!!!!)

「クィルプ、クィルプ」としゃべるきのこのインスタレーション

円形のスクリーンの中にはジオラマが設置されている
余談ですが、先日テレビ朝日系でスタートしたドラマ「しあわせな結婚」。松たか子さんの弟役の板垣李光人さん演じる鈴木レオの名前は、レオ・レオーニ(ドラマではレオ・レオニ)のレオからとったんだと、段田安則さん(お父さん)が言っていましたよ。
「レオ・レオーニの絵本づくり展」は8月27日(水)まで。公式サイト:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/25_leolionni/
今月の言葉
なんでもハラスメントにすればいいと思ってないかい?「〇〇ハラ」
おーどりー――うちらの若かったころは、今でいうところの「セクハラ」「パワハラ」は、当たり前に存在してたし、ムカつきながらも、ちょっと諦めているところはあった。
ハチ――言葉だけじゃなく、触られたりしたという話も聞いたことある。
おーどりー――「彼氏いるの?」とかもセクハラらしいけど、これくらいの発言だったら、相手との関係性にもよると思うけどね。ギラついたすけべオヤジが聞いてきたら間違いなくセクハラ認定してしまう(笑)

ハチ――線引き難しいよね。たとえどんなに親しくても、自分にとっての許容範囲を超えたらアウトだよねー。
おーどりー――本当に。最近は、何でもかんでもハラスメントなので、上司もうっかり部下に注意できないとか。
ハチ――ハラスメントっていうのは「嫌がらせ」というような意味だから、次々に「〇〇ハラ」が生まれてきているのよね。
おーどりー――マタハラ(マタニティハラスメント)とか、モラハラ(モラルハラスメント)とか、カスハラ(カスタマーハラスメント)とかね。
ハチ――カスハラねぇ~。「お客さまは神様です」と思えと。。やだやだやだやだ!
おーどりー――グルハラってわかる?
ハチ――なんでしょう?
おーどりー――グルメハラスメント、なんだって。食事のとき、自分のこだわりの食べ方を押し付ける行為とか。これはわかる。好きに食べさせてくれーい、と思う。
ハチ――ちょっと前に話題になった、マルハラにはびっくりした。LINEなんかのやり取りに、句点「。」を付けると威圧的に感じるから、ハラスメントだと。
おーどりー――もう、顔文字でいったら┐(´д`)┌ヤレヤレ 付き合いきれん!
ハチ――意味不明です、ほんとに。
おーどりー――あとね、イロ(色)ハラ。大学受験の赤本ってあるでしょう。あの鮮明な赤色がプレッシャーとか、威圧感があるとかで、リニューアルするらしい。赤本が屈した。。。
ハチ――ばかもーん!そんなものにプレッシャーを感じている時点で、受験戦争に負けておる。
おーどりー――つい最近知って、びっくりしたけどちょっと納得したのが「大谷ハラスメント」。大谷はすごい選手だと思うし、その活躍ぶりには注目しているけれど、時々「いな~ふ」と思うときがある。
ハチ――野球に興味がなくても大谷翔平を知らない人はいないと思うけど、大谷に興味のない人もいるだろうから、そんな人は連日連夜のニュースに、さぞかしうんざりしていることでしょう。
ハラスメント:人を悩ますこと。地位や立場を利用した嫌がらせ(広辞苑第7版)

